カーレースの歴史は既に140年近くありますが、その中で色々なコースがドライバーの腕を試してきました。しかし、中には諸事情で改修されたコースもあり、スパフランコルシャンもその1つです。
そこでこの記事では、スパフランコルシャンが歴史上どのような変化を歩んできたのかを紹介しています。おすすめの観客席も紹介しているので、スパフランコルシャンでレース観戦するときの参考にしてください。
スパフランコルシャンの歴史
スパフランコルシャンは、1921年8月にベルギーのリエージュ州でオープンされたサーキットです。主にF1のベルギーグランプリやスパフランコルシャン24時間レースなどで使われています。オープン当初は全長14.9kmもの長さがあり、サーキットの中でも指折りの長距離でした。
しかし1981年までオーバル気味のコースでスピードが出すぎており、多重事故や死亡事故が多発したため改修しています。改修後は改修前と比較して全長6.968kmにまで短縮され、狭い区間に連続コーナーのあるテクニカルコースへと変貌しました。さらに2003年にはシケインとピットレーン、2022年にはグラベルトラップを追加し、さらに安全に走行できるようになり現在に至ります。
優勝レーサーの歴史
スパフランコルシャンは1950年からF1が開催され、以下に紹介するレーサーが優勝を積み重ねてきました。なお、1969年と1971年から1982年までと1984年のブラジルグランプリは別の場所で開催されているので掲載していません。また、1983年からはスパフランコルシャンが改修されて以降の記録となるため、単純に過去のドライバーとの優劣がつくものではない点に注意してください。そして2021年マックスフェルスタッペンの記録は、豪雨による中断で記録したタイムです。
| レーサー名 | 優勝年 | ゴールタイム |
| ミハエル・シューマッハ | 1992年 | 1時間36分10秒721 |
| 1995年 | 1時間36分47秒875 | |
| 1996年 | 1時間28分15秒125 | |
| 1997年 | 1時間33分46秒717 | |
| 2001年 | 1時間08分05秒002 | |
| 2002年 | 1時間21分20秒634 | |
| アイルトン・セナ | 1985年 | 1時間34分19秒893 |
| 1988年 | 1時間28分00秒549 | |
| 1989年 | 1時間40分54秒196 | |
| 1990年 | 1時間47分08秒082 | |
| 1991年 | 1時間27分17秒669 | |
| ルイス・ハミルトン | 2010年 | 1時間29分04秒268 |
| 2015年 | 1時間23分40秒387 | |
| 2017年 | 1時間24分42秒810 | |
| 2020年 | 1時間41分25秒282 | |
| 2024年 | 1時間19分57秒566 | |
| キミ・ライコネン | 2004年 | 1時間32分35秒274 |
| 2005年 | 1時間30分01秒295 | |
| 2007年 | 1時間20分39秒066 | |
| 2009年 | 1時間45分34秒188 | |
| ジム・クラーク | 1962年 | 2時間07分32秒3 |
| 1963年 | 2時間27分47秒600 | |
| 1964年 | 2時間06分40秒5 | |
| 1965年 | 2時間03分32秒 | |
| ファン・マヌエル・ファンジオ | 1950年 | 2時間18分12秒7 |
| 1954年 | 2時間44分42秒4 | |
| 1955年 | 2時間39分29秒 | |
| デイモン・ヒル | 1993年 | 1時間24分32秒124 |
| 1994年 | 1時間28分47秒170 | |
| 1998年 | 1時間43分47秒407 | |
| セバスチャン・ベッテル | 2011年 | 1時間26分44秒893 |
| 2013年 | 1時間23分42秒106 | |
| 2018年 | 1時間41分52秒210 | |
| マックス・フェルスタッペン | 2021年 | 3分27秒071 |
| 2022年 | 1時間44分297秒 | |
| 2023年 | 1時間22分30秒450 | |
| アルベルト・アスカリ | 1952年 | 3時間3分46秒3 |
| 1953年 | 3時間9分23秒3 | |
| アラン・プロスト | 1983年 | 1時間27分11秒502 |
| 1987年 | 1時間27分03秒217 |
セクター1の特徴とおすすめ観客席
スパフランコルシャンのセクター1は、Lasourceというヘアピンカーブと、RaidillonEauRougeという勾配とKemmelstraightというロングストレートで構成されたハイスピードセクションです。このセクションの観客席が一番おすすめで、個人的にはウェットコンディションのレースはぜひ見てほしいです。実はウェットコンディションのKemmelstraightは、タイヤから上がる水しぶきがまるでアニメで描かれるダウンフォースを再現しているようになるんです。車はRaidillonEauRougeを超えた付近からフルスロットルなので、できればKemmelstraight側の観客席の真ん中くらいが車を見られる時間が長くておすすめです。
セクター2の特徴とおすすめ観客席
スパフランコルシャンのセクター2は、LesCombesやCampusを始めとした大小9つのコーナーで構成されたテクニカルセクションです。コーナーが連続であるため、オーバーテイクシーンを沢山見られるPouhonのグランドスタンド席が特におすすめです。ちなみにセクター2は18階建てのビルの高さを一気に下るセクションなので、場所によっては車が落っこちていったり、車が襲い掛かってくるようなアングルが見られる魅力があります。さらにLesCombesでは、セクター1のKemmelstraightでスリップストリームについた車が一気に追い越しをかける場所なので、どの区間の観戦席も見どころのある場所として知られています。
セクター3の特徴とおすすめ観客席
スパフランコルシャンのセクター3は、シケインを除く全てのコースが高速仕様という特徴があります。しかし、DRS区画ではないのでBlanchimont周辺の観戦席は比較的安く、席も取りやすいです。また、ドライバー同士の激しいコーナリングバトルが見られるStavelotは、キャンプエリアに指定されています。したがって、バーベキューなどで食事を楽しみながらレースを観戦したいときにおすすめです。
スパフランコルシャンの行き方
2026年のF1ベルギーグランプリは、フリー走行が7月19日から7月20日、予選が7月20日で決勝が7月21日に開催されることが分かっています。ただし、通常日本からスパフランコルシャンのある最寄りのブリュッセル国際空港へは直行便が出ていません。F1シーズン中直行便が出ることもありますが、2026年は未確定なのでカタール空港かドイツ空港で乗り継ぎをしてブリュッセル国際空港に行く方法をおすすめします。ブリュッセル国際空港からは140km近くをタクシーかレンタカーで行くことになりますが、F1シーズン中は割高になるので300ユーロくらいを考えておきましょう。ちなみに現地の言葉でタクシー運転手にスパフランコルシャンへ行ってくださいとお願いするには、Spa-Francorchamps,s'ilvousplaîtと行ってください。
まとめ
スパフランコルシャンはオープン当初安全性の問題がありましたが、ドライバー達の尊い犠牲を持って改修工事を行い現在は安全に走行できるようになっています。特に距離短縮工事の影響は大きく、オープン当初の半分近くにまでなっています。それでも天候が不安定だったり、速度の出るセクター構成だったりするので事故は多いのですが、見応えのある場所に観戦席が設置されているので、人気サーキットとして有名です。