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【ルマン24】歴史とコースを徹底解説!世界三大レースの違いについても

2025年9月30日

皆さんは世界中にどの程度の長時間レースが存在するかご存じですか?中には人間のフルマラソンのようなハードなレースも存在し、レース時間が10時間以上になるものも多数存在します。そんな長時間レースの中でもこの記事ではルマン24を中心とした世界三大レースと呼ばれるレースを紹介しています。レース初心者の人でも違いが分かるように紹介しているので、観戦する予定の人はぜひ参考にしてください。

ルマン24の歴史とコース情報の全て

ルマン24とはル・マン24時間レースのことで、フランス中部のル・マン市にある全長13㎞のコースを24時間で何週できるかを競うレースとなっています。元はラッジウィットワース杯24時間耐久グランプリという名前で1923年から開催されており、様々な自動車メーカーやレーシングチームが参加する影響もあり、世界三大耐久レースとして認知されるほどになりました。

出場資格の歴史について

ルマン24は初開催時から参加希望者が溢れていたようで、一時期は予備予選を開催して優秀な成績を残したチームのみ参戦が許されたことがあるそうです。また、ルマン24の知名度を利用したがる企業も多く、専用のマシンを開発しようとしたチームもあったようです。そんなレースの参加状況を見た国際自動車連盟のFIAは、参加者にスポーツカー世界選手権への参加を義務付けるようにルールを改正したことがあります。その後も幾度かルール改正を行い、2012年からはFIA世界耐久選手権の1戦として参加することが義務付けられています。

一般エントリーの枠もありますが、FIA世界耐久選手権にエントリーしている人が優先的に参加できる上に、選考結果によっては参加できない場合もあります。なお、一部特殊な参加枠が用意されており、四肢を失った人や映画俳優などが参加してルマン24を盛り上げています。

事故から見るルマン24の歴史とは

ルマン24はレース時間が長いこともあって、歴史上様々な事故が発生しています。特に1955年に発生したジャガーのドライバーマイク・ホーソーンが切っ掛けになった事故が有名です。ピットストップに入ろうとしたマイク・ホーソーンを避けようとした車をさらに避けようとした車が追突する形で事故が発生しています。

その時メルセデス・ベンツを運転するピエール・ルヴェーの車が事故の衝撃で飛び跳ねて観客席を襲い、死者86名負傷者200名以上の大事故に発展し、ルマン24の歴史上一番悲惨な事故として有名になってしまいました。あまりに悲惨な事故だったため、事故の様子を撮影した映像がそのまま映画に使われるまでになり、後のレースの安全基準の参考になったレースとも言われています。

参戦企業の歴史を大きく変えたルマン24効果

ルマン24に参加することで、大きな宣伝効果があると判断した企業は、レースに過剰投資するほど没頭していた時期があります。中でもフェラーリとフォードの戦いの歴史は有名で、1960年から4連覇していたフェラーリは、後援者のトラブルや行政介入によるストライキなどが重なり、役員のほとんどが会社から去り、経営危機に陥っています。

そんなフェラーリを買収しようとした企業がフォードモーターですが、フェラーリはイタリアの企業であるべきと考えた一部過激派に妨害され、買収に失敗しています。そんな行為に怒った当時のフォードモーターのヘンリー・フォード2世は、無尽蔵ともいえる資金力を使ってフェラーリに喧嘩を売るような形でルマン用の車を開発して、フェラーリと争っていた歴史があります。

安全面に配慮したコース編纂の歴史を大公開

ルマン24が開始された当時のコースには、ピットレーンがなかったことが事故の増加に繋がっていました。レースを知らない人にも説明すると、モータースポーツはレースの途中でタイヤの交換や燃料の補給が必要なので、その作業を行う専用の区画が必要なんです。高速道路のサービスエリアをイメージすると分かりやすいかもしれません。そして仮にそのサービスエリアのような区画が無いと、車が高速で走っている道路で燃料を補給しなければなりません。

そんな状況で事故が発生し、仮に燃料ホースを持っていた人が車に引かれた場合、燃料が当たり一面に飛び散り、エンジン熱で引火して大火災が発生してしまいます。そんな事故を防ぐために現在はピットレーンが増設され、安全に燃料補給やタイヤ交換ができるようになっています。

高速コースを減らす目的で変更された区画とは

ルマン24のコースには、当時時速400㎞の速度が出せる区画がありました。しかし、夜間に走行するときにヘッドライトの光のみで時速400㎞で走行することが危ないとされ、FIAからコースのレイアウトを変更するように圧力をかけられたことがあります。しかし、ルマン24の運営側はこのコースがルマンの魅力だと言い張り変更に反対していました。

そんな態度にFIAは2㎞以上の直線コースを作らないようにルールを改正し、守らない場合はFIA世界耐久選手権のコースから除外されると言われ、現在はコースレイアウトが変更されています。しかし、叶うならば時速400㎞で走る車を見てみたかったですね。

世界三大レースの違いについて

世界三大レースとは、F1世界選手権のモナコGPとインディカー・シリーズのインディ500とFIA世界耐久選手権のル・マン24時間レースのことを指します。まず大きな違いとして、それぞれのレースは別々のレギュレーションで走行しています。例えばモナコGPとインディ500はフォーミュラーカーでレースをしますが、ル・マン24時間レースはプロトタイプのレーシングカーでレースをします。また、主催団体やマシンの出走台数などにも違いがあるので、詳しくは以下の表をご覧ください。

 ル・マン24時間インディ500モナコGP
主催団体フランス西部自動車クラブIndyCar国際自動車連盟
出走台数最大55台33台コンストラクター数×2台
スタート方式2列ローリングスタート3列ローリングスタート2列スタンディングスタート
レース距離/周回数 500マイル/200周260km/78周
レース時間24時間3時間前後2時間前後
周回平均速度/最高速度時速240km/時速330km時速354km/370km時速160km/時速280km
開催期間6月中旬戦没者追悼記念週間5月中旬から下旬

まとめ

ルマン24はモータースポーツの歴史を大きく変えたレースとして知られています。特に24時間走り続けるというルールは世界中に存在するレースの中でも数少なく、マシンの最高速度もF1より早いです。また、あまりにも有名なレースとなったため、企業同士や行政などを巻き込んだ抗争のネタにされることが多いです。さらにモータースポーツで最大級の死人が出たレースとしても有名で、以降はモータースポーツの安全基準の見直しを図る切っ掛けにもなりました。

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